再録シリーズ:廃墟マニア


 世の中には「廃墟マニア」なるものがいるらしい。廃墟写真集なども発売されたりしているようだから結構な数なのだろう。なかでも「軍艦島」は「廃墟マニア」にとって憧れの地だそうだ。かの宮崎駿も足繁く通い、作品作りの参考にしているらしい。

 さて、何ゆえにこのようなものに惹かれるのかと言えば、「無常観」ということになるのではないか。つまり、そこにあるはずのものが無い、、、よくよく考えてみるとこれ、幽霊なのか物霊なのか、その目には見えない「あるはずであるもの」をそこに「見(え)ている」ということらしい。言うまでもないが、日本で表現される美は、大抵この手の手法をとる。

 ところで、この「廃墟マニア」。日本人だけかと思ったら、外国にも結構いるらしい。もちろん、美しいと感じているからなのだろうが、おそらく、そのプロセスは違うはずだ。まぁ、いいところ、座敷牢に閉じ込めたハズが、屋根裏に穴が空いていたとか、そんなとこなのだろうか、、、。

 我輩にとっての軽井沢は、常世の存在ではなく、ましてやどこの県にも属してないはずだった。しかし、物心ついての実際は「長野県」だったらしく、興ざめしたことを思い出す。同じく「軍艦島」も、硫黄島あたりに浮かぶ絶海の孤島のはずだったが、現実は残酷だ。長崎県だ。

 とは言え、死ぬ前に一度は行っておきたい所に違いない。しかし当面、長崎県に縁は無い。だから電脳の「軍艦島」で、しばらくぶりに、そこに「あるはずのもの」と戯れることにしたのである。

2025年03月09日

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