将棋に似たようなゲームは世界中のどこにでもあるらしい。ベタなところではチェスなどがそうだ。しかし、取った駒を自分の駒にして使えるのは唯一将棋だけらしい。
戦後アメリカは、日本を再び戦争を起こさない国にするために、政治行政のみならず日本の文化全般についてもそれなりに調べていたようで、戦争放棄を憲法の条文に盛り込むだけでは足りず、アメリカに歯向かうことのない国民性にする必要があると考え、歌舞伎の上演禁止を行った。
典型的なのは
「 忠臣蔵 」だろう。
「今に見ていろ!アメリカの大統領の首を取ってやるからな」、、、ということに繋がってくると考えたかららしい。その流れで、どうやらGHQは将棋のなかに危険思想が含まれていると感じていたらしく、場合によっては将棋を禁止することも検討していたようだ。
そこで将棋界を代表してGHQに出向いて行ったのが、タイトルの
「 升田幸三 」という人。
「 名人なんてゴミだ!! 」
などと言いのける破天荒な人だったらしいが、「 升田幸三賞 」という賞があるくらい将棋界に貢献した人らしい。
そんな彼の、将棋の存亡と自身の命を賭けたGHQでのやり取り。
▼アメリカ将校:
「 日本の将棋はわれわれがたしなむチェスとちがって、相手の駒を自分の兵隊として使用する。これは捕虜の虐待であり、人道に反するものではないか!! 」
■升田幸三:
「 冗談を言ってもらっては困る。チェスで取ったら駒を使わないのなんてこそ、捕虜の虐殺ではないか。そこへいくと日本の将棋のほうは、つねに全部の駒が生きている。しかも敵から味方に移ってきても、金は金、飛車は飛車という元の役職のまま仕事をさせる。これこそ本当の民主主義ではないか!!
だいたいチェスのどこが民主主義なんだ?王様が危なくなると女王を盾にして逃げようとするじゃないか!女性尊重だのレディーファーストだのとしきりに言うけれども、あれは一体どういうわけだ?
古来から、日本の武将は落城にあたっては女や子供を逃がし、しかるのちに潔く切腹したものだ。民主主義、民主主義とバカの一つおぼえのように言う前に、将棋をよく勉強してほしい。 」
この後、5,6時間話して感服したアメリカ将校は、酒を手土産に升田幸三に敬意をしめしたということだ。升田もアッパレだがアメリカ嫌いの僕も、アメリカ人のこういうところはホント、敬服いたします。
ちなみにこういったゲームで唯一、コンピュータが人間に勝てないゲームが将棋でしたが、先日ついに人間が負けてしまいましたね。
雪山
2019年02月28日